咽に異物が詰まったら・・・異物除去と掃除機・・・

 咽に、餅などの異物がつまってしまったとき・・・・

 これまで、教科書的な応急処置として・・・・・

 頭を低くして、または体を横にして背部叩打法(肩甲骨と肩甲骨の間をトントンと叩く)。それでも取れないときはハイムリック法を施す。
              (中略)
 このとき、電気掃除機を使う方法も選択肢の一つであるが、ノズルが不潔であること(感染させる恐れがある)、吸引力が強すぎて口の中や喉の奥を傷つけたり逆に呼吸抑制を起こす危険性があることから電気掃除機の選択は極力避ける・・・・(後略)・・・

 という内容のことが紹介され、自分の施設で家族介護教室で異物除去法を紹介するときにもこの内容(背部叩打法・ハイムリック法)のことを指導していました。

 特に、ハイムリック法は、背部叩打法で異物が取れない場合、有効な手段として紹介していました。しかし最近、救急救命士さんの事例研究に目を通してみるとハイムリック法危険性についての報告を目にするようになりました。


 ・・・ハイムリック法とは・・・

 異物を咽に詰まらせ、まだ意識がある人に対して行う異物除去の方法で、術者は①詰まらせた人の背部側に回り込み、②詰まらせた人のみぞおちのあたりで自分の手を組み、③一瞬で上に持ち上げるような操作をする。
 そうすることで、横隔膜が一瞬持ち上げられ、肺の空気が逆流しその空気の圧力で異物が除去できるとされていました。

 しかし、混乱した現場(海外も含め)での成功例は少なく、内臓損傷(胃破裂など)を起こしている事例が少なくないという驚くべき結果が報告されていたそうです。


 そこで、近年ハイムリック法に替わる有効な手段として脚光を浴びるようになったのが、異物除去ではタブーとされていた掃除機です。

 しかも、最近では異物除去法の一つに掃除機を使用した方法が救命法の講習でも紹介されるようになっているみたいです。
(って・・・・やみくもに、掃除機のノズルを口の中に押し込め!!というものではありません)

 正しい、掃除機での異物除去のやり方には掃除機の他にある器具を使います。
        それが、コレ↓
画像
 
 この器具を掃除機のホース(隙間ノズルに差し込む部分)に接続して使用します。

 使用法・・・・・
 ①ノズルを掃除機のホースにしっかり接続する
 ②掃除機のスイッチを切ったままノズルを咽に差し込む
 ③2~3秒程、短時間掃除機のスイッチを入れる
  この時絶体に、長時間(10秒以上)掃除機のスイッチを入れたままにしない
  もし、1回で取れない場合は③の操作を繰り返す。鼻をつまんでみる。
  吸引力の調節が出来れば弱にしておく
 ④ノズルが異物を吸いこみ(又は吸い付き)異物を除去する

 注意・・・・
 この方法は、掃除機の吸引力を利用した方法です。
 混乱した現場では、リスクを伴うことが十分に考えられます。異物を誤嚥したらまずは、背部叩打法を試してみて、それでも取れない場合の最終手段と考える方がいいとおもいます。
 できれば、救命講習などでこのノズルを用いた救命法を体得することが望ましいですが、このノズルを購入された場合にはあらかじめ取扱説明書をしっかり読んで取り扱いや危険性を理解しておいてください。



 この吸引ノズルは、救急医と救急救命士の方が共同開発された専用ノズルで、一般家庭向けにドラッグストアやネットなどで販売されているようです。
高齢者がいらっしゃるご家庭などいざというときに備えて準備されてはいかがでしょうか?

 また、この専用ノズルを使わなくても未使用の清潔な隙間ノズルを応用する方法があるようです。その方法が解り次第、このブログで紹介したいと思います。



この記事へのコメント

2007年01月17日 22:16
吸引力はそれほど強くはないが、患者さんの気管にたまった痰を吸い出す装置 これ使い物になりますか?
 病院にしかないか!
こりゃダメだ。
2007年01月18日 09:16
ほぉッ!! こんなモノまでドラックストアには有るのですネ(驚)。
それにしても掃除機とは…。
幸いこれまで、自分が喉に何かを詰まらせたとか、ヒトがそうなったのに居合わせた事は無いケド、いざとなると絶対慌てふためいてしまうと思いマス。
怖いなぁ…、どっちの立場になっても(汗)。
ガムを食べようと思ったケド、止めとこウ…寝不足だし(苦笑)。
月桂樹
2007年01月18日 12:57
こんにちは。
誤嚥事故、以外に老人福祉施設では起こりがちな事故ですよね、私もその現場にたまたま居合わせたことが、数回あります。
始めて遭遇した時は、それは驚きうろたえて人を呼び背中を叩くくらいしか出来ませんでした。
その後ハイムリック法を研修で教わったのですが、それから暫くして、誤嚥事故に遭遇、見る見るうちにチアノーゼが出始め急いでハイムリック法で対処しました。
ポロンと食べ物が出てきて、顔に赤みが差し始めた時にはホッとしました。
今回の器具ですが居宅で介護している方たちには、とても便利な物だと思います。
2007年01月18日 15:23
ひこうちゅうねんサン
残念ながらこの吸引ノズルは通常吸痰に用いる吸引チューブよりもかなり太く(ネラトンカテーテル10号程)吸痰には向きません。
しかし、在宅介護が多くなっている現状から、掃除機の吸引力を使った吸痰用の家庭用吸引器が市販されているようです。また、自分が看護学生時代には在宅看護実習で吸痰用の吸引器をインスタントコーヒーの瓶、チューブ(金魚用のエアストーンに使うヤツ)などあり合わせの物で即席吸引器を作ったことがあり、実際に使っていました。
2007年01月18日 15:40
ひいサン
この吸引ノズルは自分の施設に設置してあるモノですがコレが一般のドラッグストアに売ってあるのを見て正直驚きました。(^_^;) 因みに、介護用品コーナーに置いてありました。

そうですよねぇ・・・一般の人たちが物を詰めた人を見てとっさに応急手当てできるかというと??
あわてふためくと思います。(というか・・・慣れない医師や看護師でも慌てるし・・・)
窒息事故は、飲み込む力が弱っている高齢者や何でも口に入れてしまう乳幼児に多いのですが、成人もフッとしたことで窒息事故に至ることがあるので、疲れているとき、寝不足の時には誤嚥しそうな物食べない方がいいかもしれません。

2007年01月18日 15:52
月桂樹さん、お見事ですね!
ハイムリック法で異物除去に成功するなんて、さすがです。
自分も、誤嚥窒息している方に対してハイムリック法やったことがありますが、成功には至らず直ちに駆けつけた医師が喉頭鏡下で異物を鉗子除去することにより事なきを得ました。

そうですね、このノズルは高齢者がいる家庭なんか常備しているといざというとき有効な器具かもしれませんね。
2007年01月21日 21:33
ほぇ~、掃除機で吸い出すとは豪快なやり方ですねぇ。
僕が喉に何かを詰まらせたところに立ち会ったら、慌てふためいて背中たたき!ぐらいしか出来ないと思います。。。
うちのじいちゃん家にはそーいう吸引機っぽいの置いておいたほうがいいような気がしてきました。
2007年01月22日 16:13
どーるますたーサン
咽に詰まったものを掃除機で吸い出すやりかたは、余りにも荒っぽいためこれまではタブー視されていました。
でも、最近では救命のプロである救急救命士たちの研究で掃除機も使いようによっては有効な手段として使えるものみたいです。
いざというとき、一本用意されてはいかがですか。
2007年02月12日 07:50
吸引ノズルと掃除機をセットにして各病棟の詰所、食堂に備え付けています。バナナや芋を喉詰めしたときは経験上サクションではとても吸引できないです。以前、バナナを詰まらせた患者様を3人がかりで真っ逆さまにして背部叩打、除去できずに掃除機につけたノズル吸引で除去できたことがあります。
確かに吸引力は強く、咽頭より出血はありましたねぇ。防災訓練の異物除去コーナーでペットボトルを用いて吸引力のデモをしたのですが、手で口を密閉してノズルを差し込むとペットボトルがグシャっとつぶれるくらいの威力があります。
 看護師が口頭鏡を使って挿管はできませんが、緊急時に口頭鏡とカンシを用いて異物を除去する行為は許されるのでしょうか。
2007年02月12日 21:34
GAKUさん
自分の施設でもパンやバナナなどを詰めてあわやという事がありました。
幸い側臥位にして背部叩打法で異物除去に成功し事なきを得ましたけど、掃除機と吸引ノズルの準備もしました。

防災訓練の異物除去コーナーで掃除機の吸引力デモをされたそうですけど相当強い吸引力があるようですね。(やはり、掃除機は最後の手段と考えるべきでしょうか?)

 看護師が喉頭鏡と鉗子を使って異物を除去する行為ですが、以前、自分の施設長(Dr)に同じ質問をしたところ一応出来るようです。
 何故なら、救命士以外にも一定の講習・資格を受けた救急隊員達にもその使用が許されているからだそうです。
しかし、喉頭鏡の操作に十分慣れておくことが必要だとも言っていました。
2007年02月12日 22:14
喉頭が口頭になっていました。お恥ずかしい。
やはり、使えますか!いざというときは試す価値ありですね。喉頭鏡は医者だけが使えるものという先入観がありました。しかし、異物除去に時間をかけすぎるとCPRが遅れてしまい蘇生できなかった例があります。喉詰めで呼吸停止が来てから2~3分以内で異物除去できなくてもCPRを始めなければいけないと思います。応援の確保ができたなら、CPRと並行して異物除去を継続してもよいでしょう。
2012年11月25日 19:29
はじめまして~
タイトルに惹かれ、お伺いしました
96歳の母を介護中です
9月から2ヶ月間誤嚥性肺炎、尿路感染結石等で入院、今月12日に退院しました~
一時は胃ろうか中心静脈リザーバーかとなやまされましたが、お蔭さまでどうにか、トロミ食が入るまでになりました。
今でも、これからも、誤嚥の心配は大きく~
細心の注意を払っておりますが、たまに、私の眼の届かない時に自分で一気に口に入れてしまって、苦しがって~背中をさすったりしながら、自分でモグモグして唾液を口に含んで、グット呑み込んで等と、我流の言葉をかけたりしてますが、掃除機で吸い取る方法があるんですね、補助具がひつようらしいですが、こんな高齢者でも、弱で吸引すれば大丈夫でしょうか~?
素人の私にも出来るものでしょうか?
実は痰の吸引機を病院からレンタルしてくれると言われたのですが、見てて苦しそうで、断ったのですが~今は痰は大丈夫のようで助かってますが……何かの時の為に購入しようかと……?
勉強になります~又伺っても宜しいでしょうか…
2012年11月25日 19:34
ごめんなさい、随分以前のブログだったのですね
よく見もしないで~ウエブリの「介護注目」から
来てしまいました~
有難うございました
2012年11月26日 22:05
mikiさん
初めまして、ようこそ!
96歳という超高齢のお母様を在宅で介護されているなんて凄いですね。
自分が推測するにお母様は嚥下機能がかなり落ちていてちょっとした刺激でむせたりするのでは?と思います。
そうなるとご自分の唾液でも場合によっては誤嚥してしまい肺炎の危険性があると思います。
一気に口に入れてしまい苦しがっているとき唇の色はどうですか?チアノーゼ(唇が紫色)になっているときは口の中のものをかき出し(口角側から指なり小さいスプーンなりをいれて舌の上のものをかき出す程度、咽の方には入れないようにしましょう)背中をタッピングしてあげましょう。ここで咳がでれば一安心です。
この記事で紹介している吸引ノズルは病院などで使っている吸引チューブとはまるで違い桁違いに太いですし掃除機の弱でも医療用の吸引器と比べとてつもなく吸引力が強力ですからお母様には不適合かと思います。
やはり医療用の吸引器が適当かと思います。
また、お母様の状況から後々吸引器が必要なときがくると考えられますのでその時は、医療者の指導を受けレンタルされるのがいいと思います。

随分以前のブログ・・・そうですね、もう5年も前の記事だったんですね。
自分の過去の記事を読み直すいい機会になりました。
どうぞ、また遊びに来てください。

この記事へのトラックバック