救命士に瀕死の状態にある患者さんへの点滴を認めて!!!
救急救命士(以下、略して救命士)は、急病や大きな怪我などで早く病院に運ばなければならない人の元に救急車で真っ先に駆けつけ応急処置を施しながら適切な病院へと運んでくれる頼もしい存在です。
救命士制度は、心肺停止状態にある患者さんに対して①器具を使った気道確保、②静脈の確保(点滴)を医師の指示の元で行うことが出来ます。(いずれも、電話や無線などで具体的な医師の指示が必要)
平成16年より救命率を高めようと一定の講習を受けて認定を受けた救命士に『気管挿管』(①の一つ)が許され、平成18年度から同じく認定を受けた救命士が『強心剤(エピネフィリンのみ)』を投与する事ができるようになりました。
一応これで、国が考えている救命士の処置拡大は終えたようですが・・・・。
それ以外にも、もう一つ医療行為を拡大して欲しいことがあります。
ショックなど瀕死状態にある患者さんに対しての『静脈路確保=点滴』です。
確かに、救命士には「静脈路確保」が認められています。・・が・・・
その対象は、心肺停止状態にある患者さんに限られています。とりあえず、心臓が動いている瀕死の状態にある患者さんはその対象にはなりません。
瀕死状態にある患者さんは、いつ心肺停止状態になってもおかしくありません。
そんな、患者さんに対して救急車の中で静脈路確保しておくことが大変重要だと思います。
瀕死状態が進行したり心肺停止状態になると急に静脈が細くなって点滴の針が入りにくくなります。こうなると医師だけが許される高度な時間の掛かる特別な点滴を入れないといけません。
だから、真っ先に駆けつける救命士が現場で点滴することが重要になってきます。
また、ショック(主に出血など)に陥った患者さんに対しては、一時的に点滴で血液の循環量を増やすことで血圧の確保することも出来ます。
さらに、搬送中に患者さんが心肺停止状態になっても既にルート確保できているので即座に強心剤を投与することが出来ます。つまり、命を救う可能性を上げることが出来ます。
実際に、自分たち看護師は急変した患者さんに対し気道確保を確認した後、真っ先に点滴して静脈路を確保します。(原則的にはDrコール時に指示を得ますが、場合によっては看護師の判断でする事もあります:臨時の応急処置)
←これが、自分の施設で急変した患者さんに静脈路確保のため使用する輸液セット一式です。
・輸液ボトル(ハルトマン:乳酸リンゲル剤)
・輸液セット
(成人用+三方活栓付き延長チューブ)
・留置針(20G,22G,24G)
これらの輸液セットで素早く静脈路確保(点滴)して何か起こったとき(さらに状態が急変したとき)に備えておきます。
そして、この点滴の管には三方活栓とよばれるアダプターが付いているので状態がさらに悪くなり素早い薬剤投与が必要な場合でも、そのアダプターを介して注射器などで薬剤を即座に投与することが出来ます。
つまり、静脈路確保とは「何かあったとき=急変(血圧低下、心肺停止など)に備えて」の処置であり、救命士に使用が認められる条件、心肺停止になって(=何かあって)からでは遅すぎるのです。
だから、救命士に『強心剤投与』より以前にこの瀕死の状態にある患者さんに対しての『静脈路確保』が先じゃなかったのか!!と疑問に思います。
この強心剤投与は、心肺停止状態にある患者さんに対して行われます。
やはり、点滴して強心剤投与となるようですが・・・。既に心肺停止になった患者さんに対して現場でルート確保して強心剤投与することは困難なような気がしますが・・・・。
重複しますが、救命士が医療行為を行う対象は、あくまでも心肺停止状態にある患者さんです。
理由は、おそらく、誤った医療行為を行ってもそれ以上悪くならないからだと思います。
でも、この救命士制度は救命士達のさらなる努力によりきっと処置が拡大されるものだと信じてなりません。
何故なら、救命士制度を立ち上がらせるきっかけは、現場で活躍していた救急隊員たちを始めとする消防関係者の熱心な声でした。
そして、気管挿管や今回の薬剤使用も、現場で風前の灯火となった命の火を再び燃え上がらせようと、日々、熱心に活動しながら自己研鑽を積み重ねる彼らの努力があったからだと思います。
今後、救命士達のさらなる処置拡大を期待し、同じ医療者として彼らを応援していきたいと思います。
---補足----
①器具を使った気道確保
一般の救命士に許されているのは食道を閉鎖することにより間接的に気道を確保する器具の事。
嘔吐・喘息・溺水など使用出来ない場合がある。
一方、気管挿管は直接気管へ挿入するため最も確実に気道が確保されるが、その技術を獲得するにはある程度の経験が必要。
※以前は、AEDによる除細動も救命士の医療行為の一つでしたが、現在では一般市民でもその使用を許されているため除細動は割愛しました。
救命士制度は、心肺停止状態にある患者さんに対して①器具を使った気道確保、②静脈の確保(点滴)を医師の指示の元で行うことが出来ます。(いずれも、電話や無線などで具体的な医師の指示が必要)
平成16年より救命率を高めようと一定の講習を受けて認定を受けた救命士に『気管挿管』(①の一つ)が許され、平成18年度から同じく認定を受けた救命士が『強心剤(エピネフィリンのみ)』を投与する事ができるようになりました。
一応これで、国が考えている救命士の処置拡大は終えたようですが・・・・。
それ以外にも、もう一つ医療行為を拡大して欲しいことがあります。
ショックなど瀕死状態にある患者さんに対しての『静脈路確保=点滴』です。
確かに、救命士には「静脈路確保」が認められています。・・が・・・
その対象は、心肺停止状態にある患者さんに限られています。とりあえず、心臓が動いている瀕死の状態にある患者さんはその対象にはなりません。
瀕死状態にある患者さんは、いつ心肺停止状態になってもおかしくありません。
そんな、患者さんに対して救急車の中で静脈路確保しておくことが大変重要だと思います。
瀕死状態が進行したり心肺停止状態になると急に静脈が細くなって点滴の針が入りにくくなります。こうなると医師だけが許される高度な時間の掛かる特別な点滴を入れないといけません。
だから、真っ先に駆けつける救命士が現場で点滴することが重要になってきます。
また、ショック(主に出血など)に陥った患者さんに対しては、一時的に点滴で血液の循環量を増やすことで血圧の確保することも出来ます。
さらに、搬送中に患者さんが心肺停止状態になっても既にルート確保できているので即座に強心剤を投与することが出来ます。つまり、命を救う可能性を上げることが出来ます。
実際に、自分たち看護師は急変した患者さんに対し気道確保を確認した後、真っ先に点滴して静脈路を確保します。(原則的にはDrコール時に指示を得ますが、場合によっては看護師の判断でする事もあります:臨時の応急処置)

・輸液ボトル(ハルトマン:乳酸リンゲル剤)
・輸液セット
(成人用+三方活栓付き延長チューブ)
・留置針(20G,22G,24G)
これらの輸液セットで素早く静脈路確保(点滴)して何か起こったとき(さらに状態が急変したとき)に備えておきます。
そして、この点滴の管には三方活栓とよばれるアダプターが付いているので状態がさらに悪くなり素早い薬剤投与が必要な場合でも、そのアダプターを介して注射器などで薬剤を即座に投与することが出来ます。
つまり、静脈路確保とは「何かあったとき=急変(血圧低下、心肺停止など)に備えて」の処置であり、救命士に使用が認められる条件、心肺停止になって(=何かあって)からでは遅すぎるのです。
だから、救命士に『強心剤投与』より以前にこの瀕死の状態にある患者さんに対しての『静脈路確保』が先じゃなかったのか!!と疑問に思います。
この強心剤投与は、心肺停止状態にある患者さんに対して行われます。
やはり、点滴して強心剤投与となるようですが・・・。既に心肺停止になった患者さんに対して現場でルート確保して強心剤投与することは困難なような気がしますが・・・・。
重複しますが、救命士が医療行為を行う対象は、あくまでも心肺停止状態にある患者さんです。
理由は、おそらく、誤った医療行為を行ってもそれ以上悪くならないからだと思います。
でも、この救命士制度は救命士達のさらなる努力によりきっと処置が拡大されるものだと信じてなりません。
何故なら、救命士制度を立ち上がらせるきっかけは、現場で活躍していた救急隊員たちを始めとする消防関係者の熱心な声でした。
そして、気管挿管や今回の薬剤使用も、現場で風前の灯火となった命の火を再び燃え上がらせようと、日々、熱心に活動しながら自己研鑽を積み重ねる彼らの努力があったからだと思います。
今後、救命士達のさらなる処置拡大を期待し、同じ医療者として彼らを応援していきたいと思います。
---補足----
①器具を使った気道確保
一般の救命士に許されているのは食道を閉鎖することにより間接的に気道を確保する器具の事。
嘔吐・喘息・溺水など使用出来ない場合がある。
一方、気管挿管は直接気管へ挿入するため最も確実に気道が確保されるが、その技術を獲得するにはある程度の経験が必要。
※以前は、AEDによる除細動も救命士の医療行為の一つでしたが、現在では一般市民でもその使用を許されているため除細動は割愛しました。
この記事へのコメント
私の義理兄のお父さんは交通事故で他界しました。
本人は意識不明で身元が分からずに家族の手術の同意がなかなか取れなかった為に手遅れでした。この様な事も助かる命が!と思うと悔やまれました。
問題、沢山あると思います。
改正して欲しいですね。
救急に関する問題は本当に山積していると思います。
最近、報道でも取り上げられている「救急車のたらい回し問題」・・・医師不足で受け入れが不可能な病院が増えているのも確かですが、たらい回しはそれ以前からあるようでした。
のんサンの義理兄のお父様は大変残念だったと思います。
病院によっては、本人または家族の意思がなければ手術出来ない所も多々あるようですし・・・
プレホスピタルケア(病院前救護:救急車内での応急処置、素早い病院への搬送)も含めて早急に解決しなければならない問題だと思います。
考えさせられますね・・・。
この制度が導入された頃は、医療関係者も
資格を取りにいったものです。
救える命があるのなら、制度の見直しを
今一度していただきたいものです。
日本の場合、医療のリーダーはあくまでも医師。
原則的に医師の指示無くしては、医療行為が出来ません。(何かあれば医師の責任を問われるわけですが)
しかし、外国に目を向けてみると医療の専門家(医師、看護師、各療法士)それぞれが対等でそれぞれの領域で責任を持っています。勿論、日本も形的にはそうなっていますが、実際には医師の言いなりになってしまうことが多々あるようです。
現代の医療はより広くより専門化してきているので医師の権限をその専門化に任せることが必要になってくると思います。
その一つが救急現場の最前線で活躍する救命士たちです。病院を選定している間にルート確保出来るようになれば、もっと救われる命も増えるのではないかと思います。
救命士制度が発足した頃、消防職より看護職の受験者が多かったことは当時のニュースでもやっていましたね。
しかし、この救命士制度は余りにも制限が多すぎてその資格を有効に生かしていないように思います。その一つが重症者に対してのルート確保です。ルート確保するための器具や技術・知識を持った救命士がいるのに法的な制約がありそれができない・・・余りにも理不尽な事だと思います。
「ルート確保する暇があるくらいならさっさと運べ!!」なんて言い方する人もいると思いますが、病院選定に時間が掛かっているのが現実・・・そんなんだったらルート確保出来る内にルートとっていた方が病院到着後の処置も迅速になりますよね。
国には「救急車のたらい回し問題」の他「救命士の医療行為の対象者拡大」も検討して欲しいと思います。
海外のドラマで(ERとか・・)コレだけ放送してても気づかないんですよね。
国民の声としてくみ上げていただきたいですね。
医師の技術不足も何とかできないと・・・
挙げたら切り無いですね・・・
外国の救命士制度は重症の患者さんに対しルート確保するのが当たり前ですね。
しかし、日本ではそれが法的に許されないというのは余りにもおかしい話だと思いませんか?
本文でも述べていますが、ルート確保の目的は何か起きたときのため(急変)IVがすぐできるようにしておくためなのに、何か起きてから(急変してから)しかルート確保できないなんて・・・本末転倒だと思います。
現在、救急車のたらい回しが問題となっているようですが、救命士の医療行為の見直しも是非やってもらいたいと思います。
そうなんですよね、救命士は一刻を争う救急現場で命を救うために誕生した資格です。
一刻も早く救命士にルート確保の対象を拡大して欲しいと思います。
また、コメディカルスタッフのほうが専門的な深い知識が多いですし、医師と対等に働ける意識を医療者全体がもったほうがいいなと思うこの頃です。
実にそうなんですよねぇ・・・状態が悪化し血圧が低下するとどんなに点滴しやすかった人でもルートが採れないことがあるんですよねぇ・・・。
ルートが採れないと薬剤が投与できないし次の処置が出来ないなって事に成りかねないんですよね。(だから、ルートは採れる内にとっておく→Nsでも臨時の応急手当としてDrの指示無くして実施できることが法的に許されていますが…)
現在では医療分野において色んな専門職が誕生しています。
これからの医療は医師がトップに立つのではなくそれぞれの医療職が対等な立場で働くべきだと自分も思います。また、そうすることで医師の負担を軽減する事が出来るのでは?とも思います。
こちらの記事を読ませて頂きmとても勉強になりました。私は全くの素人ですが、すごく分かりやすかったです。有難うございます。
m(_ _)m
また紹介記事を書かせて頂き、TBを送らせていただきました。(事後報告になり申し訳ありません。)
ようこそ!いらっしゃいませ~
紹介記事読ませていただきました。
救命士制度について関心を持っていただき有難うございます。
アメリカやヨーロッパをはじめとする先進国の救命士(パラメディック:Paramedic)は日本の救命士と違い自分たちの判断で重症者に対してルート確保の他、昇圧剤、強心剤、ブドウ糖などの薬剤投与など日本に比べて幅広い医療行為が許されています。
また、日本の場合現場のことをよく見ず制度化されていることも問題です。
そうなんですよね、「救急救命士」という言葉を聞いたことがあっても実際に救急車の中でどういう権限がありどのような処置をやっているのか一般の人に知られていないのが現実だと思います。
報道などを通してもっと一般の人たちにその活動内容を知ってもらい、救命士の活動に何が必要かを今一度検討してもらいたいと思います。
因みに、救命士が行う医療行為に制限が多すぎるのは「医療行為は医師の特権だ!」と主張する日本医師会のエゴだったりするのです。
もっと多くの命を救うために、救われるはずの命のために救命士の医療行為をもっと拡大して欲しいと思います。