『特定看護師』!?・・・・

 今回は久々に医療のことについて書きたいと思います・・・

 自分が仕事上有している資格『看護師』ですが、このほど厚生労働省の「チーム医療の推進に関する検討会」で、看護師の業務範囲を拡大するため、現行法の医師の「包括的指示」のもと、医療行為を担う「特定看護師(仮称)」を創設することが決定しました。

 特定看護師・・・自分的には一見するとなんだか看護業務を制限された看護師みたいに感じてしまいますが・・・
 特定看護師とは、これまで医師法により制限されていた高度な医療行為の一部を看護師が上位の資格を取得することで行えるようになるという資格です。

 
 具体的な事はこれから検討されるようですが、特定看護師として想定される必要な条件として・・・・・・
①看護師の資格を有していること(准看護師ではNG)
②看護師として一定期間(具体的な期間は決まってませんが例えば5年以上)以上の実務経験を有すること
③特定看護師の養成を目的とした課程として第三者機関が認定した大学院修士課程を修了したこと
④修士課程修了後は第三者機関による知識・能力の確認・評価を受けたこと
・・・・だそうです。


 特定看護師として想定される具体的な業務ですが・・・


・患者の重症度の評価や治療の効果判定などのための身体所見の把握や検査
 従来の業務でも看護上必要な評価や効果の確認などは日常的にやっている事ですが・・・・
 これまで、公には看護師は患者さんの詳細な観察は行えても治療の評価や効果の判定まではできず、その判断はあくまでも医師が行っていました。
 実際には医師が患者さんを診察することなく看護師の報告をもとに評価を医師が行うケースも多く、中には多少の判断は看護師がやっていたというのも無きしにも非ず・・・・でした。
特に医師が常駐しない施設(老人ホームなど)などでは実際に評価しているのは看護師というのも珍しくなかったと思います。(さすがにそれでは法律的にまずいので、医師に電話などで状態を報告し評価をあおいでいます。)
 それが、特定看護師では公に特定看護師の判断で評価できることになるようです。(勿論、特定看護師でも迷うような高度な評価・判定は医師の指示を得るようになる事と思います)


・動脈血ガス測定のための採血など、侵襲性の高い検査の実施
 動脈血ガス測定・・・一般の方にはあまり聞き慣れない検査ですが、呼吸器疾患などで血液中の酸素や二酸化炭素濃度など動脈血に含まれるガスを精査するために行われる検査です。
比較的簡単に行われる静脈からの一般的な採血と違い、動脈は表在している箇所が少なく採血するには術者の豊富な経験と高度な技術が必要で、患者さんにも大変な痛みやリスクがあり、これまでは医師がいなければ行うことが出来ませんでした。
 それが、特定看護師を有する高度な技術と知識を持った看護師がいれば医師は不要となります。
また、「患者の重症度の評価や治療の効果判定などのための身体所見の把握や検査」の一部として行われることもあると思います。


・エコー、胸部単純X線撮影、CT、MRIなどの実施時期の判断、読影の補助など(エコーについては実施を含む)
 これまで、検査の実施時期の判断や読影は医師の仕事で、看護師でも検査データを看護業務に活かすため医師の意見を聞きながらレントゲンなどをみることがありましたが、検査の実施時期の判断や読影の補助はできませんでした。
また、これまで経験豊富な看護師が患者さんの状態や入院期間に応じて各検査を医師に勧めることもありますが、あくまでもそれを実施するか否かを判断するのはやはり医師でした。
 また、エコーなど非侵襲的な検査機器で看護師が事前に検査できるようになるのも異常の早期発見や患者さんへの負担を減らすことにつながるのでは?と思われます。


・IVR時の造影剤の投与、カテーテル挿入時の介助、検査中・検査後の患者の管理
 これ、自分の専門外なのであまり突っ込んだことを書くことは出来ませんが・・・
IVR…超簡単に一言で言うとや「血管内カテーテル治療」となります。
 これまで、こうした血管内カテーテルを行うときには主としてカテーテルを操作する医師(執刀医)の外、それをアシストする医師が必要でした。勿論、それをサポートする看護師もいましたがあくまで外回りで直接執刀医をサポートすることは出来ませんでした。
 それが、特定看護師では、直接医師のサポートができるようになりその分、フリーになった医師を他の業務に回せるといったメリットがあります。
 検査後の患者さんの管理について、はっきり言って多くの病院では看護師が日常的やっているとは思いますが・・・
検査の内容によっては造影剤の使用や侵襲的な手技により患者さんが急変しやすい状況があり、それに備えるため医師がつきっきりといったケースもあります。
しかし、高度な観察技術や理学的所見を判断できる看護師であれば、これらの業務を医師でなくても行えるようになります。


・人工呼吸器装着中の患者のウイニング、気管内挿管、抜管など
 これも、自分の専門外なのであまり突っ込んだことを書くことはできませんが・・・
 ウィーニング、気管内挿管、抜管・・・ 専門用語が並んでいて訳解らん状態ですね・・・
 ウィーニング…簡単に言えば人工呼吸器を外せるようなる時期、気管内挿管…呼吸が停止したり呼吸が弱い患者さんに口や鼻からチューブを気管に通し人工呼吸を確実に出来るようにすること、抜管…そのチューブを抜くこと。
 人工呼吸器を外すか否かの判断には高度な観察技術が必要なのでこれまで医師が行うことが絶対でしたし、気管内挿管や抜管にしても患者さん側に多くのリスクや苦痛を強いるため医師だけに許されていた。
(心肺停止の患者さんについては認定を受けた救急救命士も救急車内や現場でのみ気管内挿管を行うことが出来ますが)
 これらの業務を特定看護師が行えるようになれば、緊急時に医師の到着をまたずとも気管内挿管を行えたり、呼吸状態が完全に回復してきた患者さんの人工呼吸器を外すことが可能となるようです。

・創部ドレーンの抜去など
 創部ドレーンとは、手術した臓器や創付近に溜まる液体を取り除き創の回復を早めるため手術創に留置されるチューブのことをいいます。
 これまで、この管を抜く時期や実際に管を抜くことは医師でしか行うことが出来ませんでした。
しかし、これらを特定看護師ができるようになれば医師の回診を待たずに看護師の業務時間内で行うことが出来るようになり、業務の効率化を図ることができるようになるようです。


・深部に及ばない創部の切開、縫合などの創傷処置
・褥瘡の壊死組織のデブリードマンなど
 まず、褥瘡とは床ずれのことで、デブリードマンとは壊死した組織をきれいに取り除く処置のことです。
 従来でも医師を呼ばずとも簡単にできる処置は看護師がやっていた所も多くあったのでは?と思います。
これらの処置は、たとえ簡単なものでも歴とした医療行為で本来医師でなければ出来ない処置でした。
しかし、医師法の「医療行為」という定義が余りにも曖昧であったため、「医師の指示を受け診療の補助・・・」という名目で簡単な瘡(創)処置に関しては看護師でも実施可能とする見解も多く実際に看護師の業務として行っていました。
 今回の、特定看護師制度が発足すれば、この辺の処置についても明確に処置範囲が決まるのではと思いますし、老人ホームなど医師が常駐しない施設では重宝されると思います。


・疼痛、発熱、脱水、便通異常、不眠などの対症療法
 これらの処置、現在数多くの施設ですでに看護師の業務として行われているのでは?と思います。
実際には、事前に具体的な医師の指示を得て、患者さんの状態に応じて看護師がその指示(対処療法)を実施していますが・・・
 特定看護師がいれば、医師の具体的な指示が無くても特定看護師の判断でこれらの対症療法が行われるようになるということでしょうか?
もし、これが可能になれば、患者さんへの負担や苦痛を早期に取り除くことが出来、症状の悪化も防ぐことが出来るのでは?と期待されます。
やはり、これも医師が常駐しない老人ホームなどの施設で重宝されると思います。


・副作用出現時の症状改善時の薬剤変更・中止
 これまで薬剤の副作用があれば臨時の応急手当として看護師の判断でとりあえず薬剤を中止しその後の判断と処置はやはり医師の指示を仰ぐこととなっていました。
しかし、特定看護師の判断で出来るようになれば薬剤の変更や副作用が出現したときの対処などこれまでより迅速に対応できるのでは?と思われます。



 
今回の記事では、看護師の業務拡大につて書いてみましたが、看護師の他にも臨床工学士(人工呼吸器の取り扱い)や臨床検査技師、言語療法士・理学療法士(痰の吸引)、救急救命士、さらには特養など老人ホームに勤務する介護職(口腔内に限っての痰の吸引など)についても一部の医療行為が解禁されようとしています。
 これらの一部医療行為解禁により、従来の20世紀型見せかけチーム医療(医師が天下の医療)から21世紀型、医業を分担しそれぞれの専門分野の特性を活かした真のチーム医療に変革を遂げようとしていると思います。



 今回の業務内容の拡大により新たな上位資格が制定されるのと同時に、それまで曖昧だった看護師による診療上の補助としての医療行為も明確に線引きされるようです。
”特定看護師として想定される具体的な業務・・・”で少し触れていますが、これまで「医療行為」というものが余りにも曖昧だったので、看護師として何処まで診療上の補助としての医療行為を許されるのか各医療機関や医師の見解に多少の違いがあり現場で働くものとしては戸惑うこともありました。
ここで、しっかりと看護師の診療上の補助としての医療行為を明確にしてもらうことで安心して業務に従事することが出来ます。
 また、人間というのはどんなに知識や技術の鍛錬をしてもどこかでミスを起こします。その時にどう対処するか法的にも明確に決めておく必要があるのでは・・・と思います。

 
 
 これまでの看護師より、高度でより専門的知識と技術をもったスーパー看護師とも言える『特定看護師
今はまだその資格が創設される事が決定されただけで、その具体的な内容はこれから議論・・・というところですが、特定看護師が臨床の場に登場すればこれまで以上に看護の役割がさらに広がり患者さんにとってもいい医療・看護を提供できるのでは・・・と期待されます。

この記事へのコメント

2010年04月21日 12:42
最近は大学や大学院卒の看護師も増えてきていますよね。認定看護師や専門看護師もどんどん増えて、看護師の位置づけが上がっているとういか。。(うまくいえませんが・・)
上記の内容をみると、看護師は"准医師"という感じにこれからなっていくのでしょうか。。責任重大でとても自分に勤まるとは思えません。でも、社会が必要としていることなのでしょうね。勉強を怠ると置いてけぼりにされそうで怖いです・・。
2010年04月21日 19:44
こんばんは~
何だか難しい話でついていけません(汗;
責任の大きい仕事ですね。
2010年04月22日 11:37
スーパー看護師とも言える『特定看護師』。人を救いたいという強い意志を胸に大変だと思いますが頑張って欲しいと思います。
2010年04月22日 17:39
さくらこサン
医療の高度化とともに看護師もある程度の医療的な技術を必要とされてきているようですね。
「特定看護師」、ホント看護師と言うより「准医師」ですね。
救命士の気管挿管問題以来、看護協会や国も看護師の医療行為の範囲や業務拡大について積極的になったような気がします。
2010年04月22日 17:41
としおちゃんサン
ホント、医療については日進月歩で新しい知識についていくのがやっとです・・・
2010年04月22日 17:44
dragon pearlさん
医師不足が社会問題となっている昨今、特定看護師が救世主となるのか今後どのように制度化されていくか興味深いところですね。
もし機会があれば自分も挑戦してみたいと思っています。
じゃま
2010年04月25日 07:51
 特定看護師の養成機関に今年から通っています。
 反対意見ばかりのブログをたくさん見たけど、こうして正しい情報をたくさん書いてくれて感謝です。大変だけど責任を生じるということはこういうことなんだと勉強しています。
2010年04月25日 21:25
じゃまサン、コメントありがとうございます。
やはり、革新的な資格だけあって批判も色々とあるようですね。でも、革新なくしては看護界の発展もないと思います。
特定看護師の1期生として戦陣を切っていただけることを期待してます。
また、自分もこれに続くことが出来るよう経験とさらなる研鑽を積んでいきたいと思います。
じゃま
2010年04月26日 01:04
気ままさん。ありがとうございます。
 どこまで認められるかはわからないけれど、周知してもらうためにも、パイオニア精神ある気ままさんみたいな方がきっと必要です。ぜひ一緒にやりたいです。
2010年04月26日 08:49
じゃまサン
ありがとうございます。
一般の人からは「看護師」とは「医者のアシスタント」だと思われているようですね。
これからは石の下に看護師や他のパラメディカルスタッフがいるのではなく、医師と同じ立場で医療を支えていると周知されるよう頑張っていきたいですね。
また、看護師の業務拡大についても賛否両論あるようですが、現場で業務拡大の必要性を感じているのは現場で働いている自分たち自身・・・・必要条件を満たせば是非取得してみたいと思います。
2010年05月01日 19:41
気ままさん、こんばんは。
特定看護師の内容が分かり易く、まとめられており、大変勉強になります。こんな看護師さんが登場するとすごく頼りになりますよねぇ。反面、責任の重さが気になります。技術と命に関わる判断がかかるだけに精神力、人間性、向上心がしっかり備わった人でないと・・・、という印象も受けました。
看護師も大学や大学院卒の時代なんですねぇ。
わたしも、じゃまさんを応援しますぅ。
いろいろと大変な事も多いでしょうが、頑張ってくださいね。
2010年05月01日 22:42
GAKUさん
そうですね、特定看護師の資格を持つナースが現場にいると凄く頼りになりますね。
また、専門的な処置の際にも医師ではなく看護師という立場からアプローチしてもらえることでこちら(普通の看護師)としてもとても心強い存在となりそうですね。
GAKUさんの仰るとおりこの資格には精神力、人間性、向上心がしっかりと備わっていることが絶対条件であると自分も思いました。
じゃまさんには、特定看護師のパイオニアとして是非資格取得してもらいたいと願ってます。
2010年06月17日 20:08
こんばんは^^
「特定看護師」早く実施してもらいたい!!
グループホーム勤務なんで、夜勤の時が
特に心配なんですよ。
Drより看護師さんが観るのが先なんでね。
2010年06月18日 09:14
よりじんサン、ようこそ!
そうですね、施設で勤務しているとこの制度がはやく施行されることを望みたくなりますね。
自分たちなんかも、薬剤や器具などは揃っているのにDrがつかまらず指示受けが出来ないから処置が出来ないということを多々経験しています。
特定看護師制度が発足すれば、認定看護師の判断(正確には医師の包括的な指示が必要ですが)で処置できることもと増えますし、巷では賛否両論あるようですが現場にいる者としては実施して欲しいですね。

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